仕事を選ぶっていうはなし。

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「仕事を選ぶって聞いたけど本当?」
お手伝いしている某ウェディング会社の社員さんと飲んでいる時にこんなことを聞かれた。その時は「そんなこと言ったことあったっけ?」と思いながら否定したけど、後から思い返すと、あーたしかに「座右の銘は他力本願」とか「誰かがやれる仕事はなるべくお任せ」とか言った記憶がある。おそらくこれらの発言が本意とは異なる解釈をされていたんだろうと思われる。あの時は上手く答えられなかったけど、一回考えを整理してみる。

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「仕事は選ばないといけない」 とあえて言う理由。
そもそも仕事を選ぶと聞くとどんな印象を持つのだろうか?良い印象を持たない人が多いだろう。

「仕事を選ぶ」というのは「やりたくない仕事をやらないこと」を指しているのではない。ここで言いたいのは「やってはいけない仕事をやらないこと」 である。仕事には「やりたい仕事」「やらないといけない仕事」「やってはいけない仕事」の3つがあると思っている。そしてそれらは自分の置かれている立場によって、変化する。

自分が末端の人間、ないしは実働部隊なのであれば「やってはいけない仕事」というのはほぼ存在せず、とにかく好き嫌いせずに全部進んでやるべきだと思う。だけど自分がリーダーとなり引っ張る立場となった時、今までの「やりたい仕事」と 「やらないといけない仕事」の内、いくつかの仕事が「やってはいけない仕事」に変わる。

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やってはいけない仕事?やらないといけない仕事?
ちょっと想像してみたい。 「なんでもやってしまうリーダー」 と 「仕事を任せてくれるリーダー」 とどっちがいいか?リーダーになるくらいなのでその仕事はリーダーがやれば早いし完成度も高いだろう。それでもやってはいけない。他人が出来る仕事を奪うことはモチベーションを奪うことと同義。遅くても我慢する。完成度が低くても根気よくブラッシュアップに付き合う。我慢して任せる。こうしてチームメンバー1人ではできなかった「やりたい仕事」を出来るようにしてあげるのがリーダーという立場になった人間の「やらないといけない仕事」なのだと思う。そして空いた時間で自分は直近のオペレーション仕事ではなく、その仕事を包括するビジョンと未来への絵図を描く仕事をする。これがリーダーの最も「やらないといけない仕事」である。

また、これは個人だけでなく、職場単位でも当てはまる話。プロジェクトチームなんかにいると、職制上本来やるべき職場の仕事を代わりにやってしまうことは結構多い。「善かれと思って」とか「そうしないと事が進まないから」とか色々理由はあるだろうし、自分もそのような局面には幾度となく遭遇してきた。そしてなかなか動かない職場にしびれを切らして結局やってしまうことも多い。しかしそれは属職場的な仕事を属人的な仕事に変えてしまっている悪しき行動。本来やるべきは、やはりその職場であり、その職場だけではできなかった「(その職場の)やらないといけない仕事」を出来るように導くのがそれを統治するプロジェクトチームの「やらないといけない仕事」なのだと思う。

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どう判断するのか。
大事なのは「どこが/誰がその仕事をやるのが最も功利的か?」を考えることだと思う。何の学びももたらさないようなちょっとした仕事であればリーダーだろうが自分でやればいいだろうし、二度と繰り返されないような仕事はその職場に残しても仕方ないから自分でやったりすればいい。ただの標語を拡大解釈して極端に振れるのではなく、元々何を目的としてその選択をするのか、ということを意識していけばいいのかな、と。

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おわりに。
こうした考えから冒頭の「誰かがやれる仕事はなるべくお任せ」だったんだけど、うーん、発言ってどこでどう間違って解釈されるか分からないから気をつけないとな。

っていうはなし。